近年、震災や集中豪雨などの大規模な自然災害の際に、被災地でトレーラーハウスが活用されるケースが増えています。すぐに移動して使える特性から、仮設住宅としてはもちろん、医療救護所や休憩スペースなど多用途に対応できる柔軟さが評価されています。従来の建設型仮設住宅では難しかった「迅速な設置」や「用地の自由度」といった点を補う存在として、自治体や企業、支援団体の間でも注目が高まりつつあります。この記事では、実際の災害支援での事例をもとに、トレーラーハウスの可能性と課題を探っていきます。
トレーラーハウスの実用性は、各地の災害現場で具体的に示されてきました。 導入主体は自治体やNPO、民間企業と多岐にわたり、住宅としてだけでなく、医療施設、休憩所、避難拠点など、多様に使われてきました。こうした実例は、トレーラーハウスが非常時の現場でどのように機能しているのかを理解するうえで欠かせないものです。
2024年1月に発生した能登半島地震では、石川県内を中心に広範囲で甚大な被害が確認されました。寒さが厳しい時期での災害ということもあり、被災者の住まいや避難環境の確保が大きな課題となる中、トレーラーハウスが応急的な住環境として活用されました。
実際に、石川県志賀町では、応急仮設住宅としてトレーラーハウスの設置が要請され、22棟設置されました。また、「1.5次避難施設」に県の要請により4台のトレーラーハウスが無償貸与されるなど、被災者の健康維持や生活支援に活用されています。
加えて、民間企業や支援団体の協力により、無償貸与や寄贈といった形でも導入が進み、公的支援と民間支援が連携する形で供給体制が構築されていきました。こうした能登半島地震でのトレーラーハウス活用の経験を踏まえ、国は翌年、平時から災害時に活用できる車両を登録・把握しておく「災害対応車両登録制度」を創設し、2025年6月から運用を開始しました。
2018年7月の西日本豪雨では、岡山県倉敷市の真備町など広範囲で浸水被害が発生しました。住宅の倒壊や全半壊が相次ぎ、多くの住民が長期にわたる避難生活を余儀なくされました。
このような状況の中、倉敷市は従来の建設型仮設住宅に加え、「モバイル型仮設住宅」としてトレーラーハウスやムービングハウス(移動可能で設置が短期間で可能な住宅)を導入しました。市が確保した私有地に、合計50棟(トレーラーハウス10棟・ムービングハウス40棟)が設置され、8月下旬から順次入居が始まりました。
短期間で設置が可能なこれらの住宅は、避難生活の早期安定化に寄与しました。導入にあたっては、民間事業者との連携や地域の理解が進められ、災害対応の柔軟な手段として注目されました。
この取り組みは、国の内閣府が発行する「令和元年版 防災白書」でも、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)におけるトレーラーハウスやモバイルハウスが、仮設住宅の一形態として導入された事例として整理されており、他地域への波及的な事例となりました。この倉敷市の導入を契機に、自治体において防災対応型トレーラーハウスの社会的役割の認知が進むこととなりました。
2016年4月に発生した熊本地震では、熊本県益城町をはじめとする地域で大きな揺れが相次ぎ、住宅の倒壊や避難生活の長期化が深刻な課題となりました。
この中で、妊産婦や障害のある方、高齢者など、特別な配慮が必要な被災者のために、トレーラーハウスが避難施設として使われました。たとえば、益城町内の広い駐車場スペースに設置されたトレーラーハウスには、浴槽やトイレが備えられ、プライバシーや衛生環境が確保された空間として活用されています。
この取り組みは、行政や支援団体の連携により実現されたもので、トレーラーハウスが「福祉避難所」として運用されたことが報告されています。こうした活用は、従来の体育館型避難所だけでは対応が難しいケースにおいて、有効な選択肢となることを示しています。
2011年3月の東日本大震災では、被災した広範な地域で仮設住宅の建設が進められる中、トレーラーハウスや移動型のユニットが、さまざまな支援活動の場面で活用されました。
たとえば、医療や福祉、地域の商業活動の再開を支えるために、診療所やデイケアセンター、仮設店舗としてトレーラーハウスが使われた例が報告されています。その後、電源や給排水設備をあらかじめ備えたり、電気や水を一定期間自立してまかなえたりするモデルの開発・導入も進み、災害対応におけるトレーラーハウスの特性が一層注目されるようになりました。
こ東日本大震災での事例は、後年の災害における柔軟な導入につながる、ひとつの転機となったといえるでしょう。
2018年9月に発生した北海道胆振東部地震では、厚真町や安平町、むかわ町などで住宅倒壊や大規模な土砂災害が発生しました。被災地域では住宅再建までのつなぎとなる仮設住宅の整備が急がれる中で、トレーラーハウスもその一つとして導入されました。
北海道庁の公表資料によれば、トレーラーハウスなどの移動式住宅は、被災3町において合計25戸が応急仮設住宅として整備されました。特に農業・畜産業に従事している被災者については、家畜の世話やハウスの管理のため畜舎・農地に隣接した住まいが必要であるとして、被災者の所有地内に個別に設置されました。
建設型仮設住宅に比べ、設置までの期間が短く、敷地条件への対応も柔軟であることから、災害時における選択肢のひとつとして注目を集めました。
災害時の支援や仮設住宅として、トレーラーハウスが選ばれる場面が増えています。また災害時の対応にとどまらず、平時からの備えや地域活動の拠点としても活用の幅を広げつつあります。その背景には、以下のような実用的な特長があります。
完成済みの状態で工場から出荷され、設置現場での工事を最小限に抑えられる点が、トレーラーハウスの大きな魅力です。特に発災直後の段階で、数日〜1週間ほどで居住空間を確保できるスピード感は、建設型にはない強みです。
占有面積が比較的小さく、地形や敷地条件への対応力があるため、限られたスペースや私有地への分散配置にも向いています。地域のコミュニティ維持のための、柔軟な選択肢となります。
一度使った後も再配置や整備を行えば、別の場所や次の災害時に再利用が可能です。こうした「繰り返し使える住宅資源」としての特性は、自治体の防災備蓄にも活かされ始めています。
一部のトレーラーハウスでは、太陽光発電や蓄電池、給排水タンクなどを搭載し、電気や水道が不安定な状況でも一定の生活機能を保てる仕様があります。初期対応や医療支援など、多用途での活用が期待されます。
近年の自然災害を通じて、トレーラーハウスは「すぐに使える住まい」として、被災者の生活再建を支える実績を着実に積み重ねてきました。地震や豪雨といった災害が頻発するなかで、迅速な対応力、設置の柔軟さ、再利用性といった特徴が、実際の現場で強く求められていることが分かります。
また、応急対応にとどまらず、平時から地域に備えておく「分散型の防災拠点」や「交流の場」としての活用も広がりつつあります。トレーラーハウスは、災害後の仮設住宅としてだけでなく、日常生活に寄り添うインフラとしての役割も果たせる可能性を持っています。
“luxury trailer house MOSS”は、ラグジュアリーテントの最高峰MOSS TENTSのDNAを受け継いだ唯一のトレーラーハウスです。高断熱・省エネ設計による優れた居住性能と、上質なデザインが融合し、四季を通じて快適で豊かな時間を提供します。日常のラグジュアリー空間でありながら、災害時には社会を支える多目的拠点としてその真価を発揮。医療や避難の現場で求められる衛生管理やプライバシーの確保にも適しています。